はやくあの洞窟の中に入りたくて仕方ないらしい。
あれは、俺の10歳の誕生日の事か。
サウロスはなんだかんだ言って、当時まだ領主だった。
復興をはじめてから数年経ち、ちらほらと麦畑ができている。
「はい、もうここはアスラ王国さ」 現在の位置としては、国境の南東に位置するらしい。
一応、俺も灯火の精霊を召喚しておいた。
崖の付近まで到達すると、トリスが石碑に向かって、何やら呪文を唱えた。
しかしある茂みを抜けると……、 「おぉ……」 唐突に森が開けた。
さっき、トリスさんが帰ってきたんだけど、 なんか、アリエル様とルークが喧嘩を始めちゃって」 「……」 アリエルとルークが喧嘩? おいおい、ルークの事は任せろって言ったのに……。
人並み以上の腕を持っているか、きちんとした教育を受けているなら、 家庭教師や用心棒といった仕事にもありつけるそうだが、そんなのは一握りだし、 そもそも冒険者である必要もない。
まあ、あの学校でもアリエルはカリスマ的な存在として君臨していた。
アンケートへのご協力も感謝申し上げます。
でも、エリスがその会話にまったく興味が無いわけではないのは、彼女の腰の剣に添えられた手を見ればわかる。
「そうだ、ルーデウス。
一つ取り出して、ギレーヌに放ると、彼女は皮も剥かずにバリバリと食べ始めた。
ここから南に移動すれば、ドナーティ領。
あたしの人形を作るという話だ」 ああ、そういえばそんな話もしたな。
「さ、遅れないようについてきて、はぐれると厄介だからね」 薄暗い洞窟の中を、松明を持ったトリスが先導する。
ていうかエリス、子供欲しいとか言ってるけど、妊娠期間にじっとしてられるのだろうか。
あんまり好き嫌いするところ見たことないけど。
実際には、俺はダリウスなんて顔も見たこと無いわけだし、 パウロの実家にも興味ないわけだし、 アリエルの体も別にいらないわけだしな。
彼女の浮気の線引はどこにあるんだろうな。
ギースはそういうタイプだ。
エリスの不機嫌さはさておき。
エリスは相撲も強そうだ。
トリスが情報を持ってきてくれました」 その情報を持ってきたトリスは、困り顔だ。
「でも、別に、領主になりたいわけじゃないわ。
だが、俺達の記憶にある、金色の海原のような麦畑はない。