人の気配もなく 名ばかりの「売店」にはホコリのかかったお菓子などが置いてあるが…トイレットペーパーは一巻150円。
Invitation(2010年1月 文藝春秋)• 日没はこれから闇に向かう時間帯だが、この力があればこそ、夜明けはまたやって来る。
この にはなが不足しています。
中に友人に誘われ、ロマンス小説を書いて応募し佳作当選。
私が良いと思ったタイトルは、桐野さんが書くものとはまた違う気もします。
2010年 - 『ナニカアル』でを受賞。
その意味では「社会派」の警告小説なのだが、その一方で、小説についてのこのような本質論が打ち出されることによって、小説についての小説、つまりメタ文学としての力を獲得している。
1998年の『OUT』では江戸川乱歩賞の他、優れた推理小説に与えられるアメリカのエドガー賞にもノミネートするなど、世界的に活躍しています。
小説家・マッツ夢井のもとに届いた一通の手紙。
冒険の国(2005年10月 新潮文庫)• それではフィクションの中ならば、無条件に許されるものだろうか。
桐野 「あとがき」は、仁藤さんの現在の活動にも通じていく過程が書かれているし、書き足されてよかったと思います。
文学における閉鎖空間のもう一つの特権的な場所、病院について言うならば、精神病室を舞台に、患者と医師のどちらが正常なのか次第にわからなくなってくる過程を描いたチェーホフの恐ろしい『六号室』や、結核にかかった青年が長期間サナトリウムに滞在し、世界の縮図のようなその場で成長していくというトーマス・マンの教養小説『魔の山』などがすぐに頭に浮かぶ。
少年はお母さんのことが憎くて憎くて仕方なくて、段々と女を馬鹿にするようになっていく。
底しれぬ恐怖がじわじわ来ます。
の提供に協力をお願いします。
よくありそうな言語統制に見えて、誰がどう動かすのかわからない、面従腹背のつもりが逃れられない泥沼にからめとられていくそのじわじわとした恐怖が最後にぞわっと襲いかかってきました。
第31回 『終身未決囚』• 一例を挙げれば、ロシア出身の亡命作家ウラジーミル・ナボコフに有名な『ロリータ』という小説がある。
2100円 税込• (文中敬称略) 着火する言論 白い手袋を嵌(は)めた運転手が優雅にドアを開け、濃紺の車から琥珀色の髪をした女性が降り立った。
桐野夏生の『日没』もこの伝統に連なっており、主人公のマッツ夢井は療養所ではB98となる。
でも、新人賞の選考委員をしていると、中には本当にタイトルがひどいものも見かけるじゃないですか。
私の場合、実際の事件を扱ったり、激しいテーマの作品を書いていたりしているから、もし『日没』の世界のようにそれを不快に思う読者から告発 されたら、いちばんにやり玉にあがるんじゃないかと思って書き始めました。
「社会が悪い」と真剣に怒っていますよ。
現実には苦い敗北もあるし、転向だってあるでしょう。
そのような分類は先にも述べたように現代ではほとんど無効になっていると私は考えるし、「エンタメ作家」に対置されるべき「純文学」を「ノーベル賞作家」で代表させるのは極端な図式である。
『日没』はまさにそのジレンマをついている。
恩田 主人公のマッツ夢井が収容所で味わう食事のショボさなんて、すごくリアルに感じました。
最近は映画のタイトルでも、良いものは少ないですよね。
『日没』においても作家矯正施設は、社会常識に反した変態的なことを書く作家を隔離するための病院という側面を兼ね備えている。
タイトルで見る気をなくしてしまうものさえあります。
1984年、30歳代の始めに第2回ロマンス賞に応募した『愛のゆくえ』が佳作入選し、小説家としてデビュー。
読んだ女の子たちの感想というのは、どんな感じなんですか。
武田さんのおっしゃる「わかりやすさ」でいえば、これは「闘う話」という切り分けられ方をすると思いますが、そこから外れるものとしての人間を描くという意味で、小説はあるのだと伝えなきゃいけない。