給ひ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の連用形、尊敬語。
中の関白殿 帥殿のお父さん が帥殿を勝たせようと、いらないことを言ってしまったために、道長の尻尾を踏んじゃったわけですね。
べき=当然の助動詞「べし」の連体形、接続は終止形(ラ変なら連体形)。
この時、道長のほうが伊周よりも官位が下だった。
「あり・居り・行く・来」の尊敬語。
とお止めになって、興もさめてしまった。
動作の主体である道長を敬っている。
ちなみに、伝聞・推定の「なり」の接続は終止形(ラ変なら連体形)。
帥殿(=伊周)の当てた矢の数が、もう二本(道長に)負けなさった。
いみじう=シク活用の形容詞「いみじ」の連用形が音便化したもの、(いい意味でも悪い意味でも)程度がひどい、甚だしい、とても。
打消の助動詞「ぬ(連体形)」の接続は未然形。
給へ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の命令形、尊敬語。
とおっしゃったところ、同じ当たるということでも、こんなに的の真ん中に当たったではないか。
ける=過去の助動詞「けり」の連体形、接続は連用形 ず=打消の助動詞「ず」の連用形、接続は未然形 思しなり=サ行四段動詞「思し成る(おぼしなる)」の連用形、尊敬語。
つ=完了の助動詞「つ」の終止形、接続は連用形 とおっしゃったところ、はじめと同じように、的が壊れるほどに、同じところに射なさった。
上記の「せ」と同様に道隆を敬っている。
射るな、射るな。
「黒=原文」・「 青=現代語訳」 解説・品詞分解はこちら 本編はこちら 『導入』 世間の光にておはします殿の、一年ばかり、ものを安からず 思 おぼ し 召 め したりしよ。
「この道長の家から帝や后がお立ちなさるはずのものならば、この矢当たれ。
動作の主体である道隆を敬っている。
仰せ=サ行下二段動詞「仰す(おほす)」の未然形。
ける=過去の助動詞「けり」の連体形、接続は連用形 (道長は伊周よりも)階級の低い方でいらっしゃったが、先にお立て申して、(道隆が道長に)まず射させ申し上げなさったところ、 帥殿の矢数、いま二つ劣り 給ひ ぬ。
動作の主体である入道殿(道長)を敬っている。
道隆の弟である道長は、甥 おいの伊周よりも下の官位だった時期があった。
無辺世界=名詞、(仏教語)無限の世界、あてのない所、でたらめの方向 給へ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の已然形、尊敬語。
動作の主体である道隆を敬っている。
中関白殿、また 御前に 候ふ人々も、 御前=名詞、貴人を尊敬していう言葉、貴人の前という場所を表すこともある、ここでは道隆をさしている。
(そこで)中の関白殿も、また、御前に伺候している人々も、「もう二回(二手)延長なさいませ。