中には、保冷剤とともに小型のペンケースが入っており、ペンケースの蓋を開けると注射器が出てきた。
その間、Nからは再び複数のメッセージが届いていた。
完全に違法な闇ワクチン密売だ。
もし、この「闇ワクチン」がニセモノであれば人命に関わる問題だ。
弊社は医薬品の販売製造業の許認可を取得しておらず、薬機法(旧薬事法)上ワクチンの輸入ができないため、あくまで医療機関に対して入手ルートのご紹介と輸入手続きのサポートまで。
密輸の方法は、「毒品(ドラッグ)と同様、船」を使用していると説明した。
当日、筆者は約束の場所に到着したがそこは無人。
新型コロナの感染が急拡大し、第4波の真っ只中にあるいま、日本はワクチン接種率が2%と先進国で最低水準にとどまっている(4月29日現在)。
だが、そこにもNの姿はない。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏は日本の縦割り行政をこう批判する。
ネット上では批判的コメントもありましたが、『ぜひ情報交換したい』と好意的な意見も複数頂いています」(広報担当) 中国政府は、中国製ワクチンの民間輸出を認めていないが、それに対しては「中国政府の意図はわからない」と答えた。
結局、この透明の液体の正体を特定するには至らなかった。
「従業員を守るために闇営業中ですが、クラスターが発生すれば、店は潰れてしまう。
遅々として接種が進まない状況につけ込み、密輸業者による「闇ワクチン」の違法販売が横行しているという。
「そのときいた公園の一角の写真で『この草のうしろ』とメッセージが来て、覗いてみると注射器の入ったペンケースがあったんです。
家電や衛生用品を販売する東亜産業が医療・介護従事者に向けて「中国国内において接種された実績」があるワクチンを「独自ネットワークを駆使して」入手したという営業文書を送付していたのだ。
連絡してみると中国シノバック社製で、手付金を振り込めば1週間後に渡すと回答があった」 奥窪氏はその後「本物か確認したい」と業者に告げると、都内某所を指定してきた。
取材をしたルポライターの奥窪優木氏は言う。
8の弱アルカリ性で、ワクチンの値と近かった。
何とかしなければと調べているうちに、同業者から『闇ワクチン』の存在を知りました。
「仕入れなど管轄は厚労省、輸送は国交省、冷凍保管は経産省、地方自治体とのやり取りは総務省などと、ワクチン流通に関する行程が複数の省庁にまたがっていたため、接種が遅れてしまった。
数分後にNは公園から徒歩15分の距離にある別の場所に来るよう指示してきた。
すると、「200回分で200万円」「1回分で15万円」との返答がきた。
ワクチンは『シノバック』社製で、手付け金を振り込めば1週間で納品するという。